Nova Express: The Restored Text

『The Soft Machine』『The Ticket That Exploded』から続くウィリアム・S・バロウズの「カットアップ三部作」の第3作。

タイトルの通り読者を「外宇宙」へと送り出し、燃え盛る地球の姿を見せつけながら、言語や情報を操作し、嘘のウイルスを広める「ノヴァ・モブ」の醜悪な活動を暴露します。

奪われた世界を取り戻すための最後の戦いと、地球の破壊に抗うための行動を読者に呼びかける預言的なSF小説。

この作品で、バロウズは「カットアップ三部作」の集大成として、独自のカットアップ手法をさらに深化させています。

謎のウイルスの侵略というテーマを通して、言語と情報がどのように支配や混乱の道具となり得るのかを読者に問いかけると同時に、それに抗うための新たな視点を提示します。

バロウズは文章やテキストを物理的に切り刻み、それを再配置する「カットアップ」という手法を考案し、文章をランダムに構成することで、新たな文脈や意味を生み出そうと考えました。

カットアップはバロウズにとって単なる創作技法にとどまらず、「言語がいかに人間の思考を支配するか」を暴露する手段でもありました。

この手法は文学だけでなく、音楽や映像などの分野にも大きな影響を与えています。 特に音楽では、デヴィッド・ボウイやトム・ヨークなどの著名なミュージシャンが歌詞や作詞の手法としてカットアップを採用しています。

バロウズ研究者のオリバー・ハリスが編集と序文を担当したこのエディションでは、膨大なタイプ原稿から本作がどのように形作られたかを詳細に解説。

独創的な詩的表現がどのように誕生したかを示しています。

官僚制度や人間社会の脆弱性を風刺するスウィフト流のユーモアを交えつつ、『Nova Express』は三部作を締めくくるにふさわしい、挑発的で強烈なメッセージを放つ一冊です。

ウィリアム・S・バロウズ（1914年2月5日 - 1997年8月2日）

アメリカの作家であり、ビート・ジェネレーション文学運動を牽引した重要人物。ドラッグ文化や性的タブーを扱う過激な内容で知られ、その独創的なスタイルは後世に多大な影響を与えました。

【著】ウィリアム・S・バロウズ

【発売日】2014/04/22

【出版社】Penguin Classics

【体裁】ペーパーバック

【頁数】320ページ

【言語】英語

【ISBN】978-0141396064